1部 ファンド情報
1章 ファンドの状況
1. 投資法人の概況
1) 主要な経営指標等の推移
(1)【主要な経営指標等の推移】
① 主要な経営指標等の推移
(注1)金額については、記載未満の桁数を切り捨てて記載し、各種比率等については、小数点第2位を四捨五入して記載しています。以下、特に記載ない限り同様です。
(注2)1口当たり当期純利益は、当期純利益を期間の日数による加重平均投資口数で除することにより算出しています。
(注3)第23期計算期間を184日、第24期計算期間を181日、第25期計算期間を184日、第26期計算期間を181日、第27期計算期間を184日、第28期計算期間を182日、第29期計算期間を184日、第30期計算期間を181日、第31期計算期間を184日、第32期計算期間を181日として年換算値を算出しています。
(注4)総資産経常利益率=経常利益/{(期首総資産額+期末総資産額)÷2}×100
(注5)自己資本利益率=当期純利益/{(期首純資産額+期末純資産額)÷2}×100
(注6)賃貸NOIの計算上、賃貸事業費用に含まれる減価償却費のみを加算しています。
(注7)年換算NOI利回り=年換算NOI/物件取得価格
(年換算NOIは、物件毎に実質運用日数を勘案して算出しています。)
(注8)減価償却費には、有形固定資産に関する減価償却費の他に、無形固定資産に関する減価償却費が含まれています。
(注9)2025年1月31日を分割の基準日とし、2025年2月1日を効力発生日として、投資口1口につき2口の割合による投資口の分割を行いました。1口当たり純資産額及び1口当たり当期純利益については、2025年1月期期首に当該投資口の分割が行われたと仮定して算定しています。
(注10)第29期期末投資口価格については、投資口の分割による権利落後の投資口価格を記載しています。
② 業績等の概要
(イ) 投資法人の主な推移
本投資法人は、賃貸マンションを主たる投資対象とする「住宅特化型J-REIT」であり、2009年当時、住宅特化型J−REITとして資産規模最大であった日本レジデンシャル投資法人(以下「NRI」といいます。)と、旧アドバンス・レジデンス投資法人(以下「旧ADR」といいます。)が、2010年3月1日付で新設合併し誕生しました。
合併に際し掲げた「長期安定的な利益分配の実現」という基本方針に基づき、以下の施策に取組んできたことにより、長期安定的な分配金の礎を築いてきました。
① 収益の安定性が高い物件の取得及び収益の安定性が低い物件の売却による運用資産の構築
② 収益性向上に向けた賃料水準の引上げ、スケールメリットを活かした運用コストの削減、大規模修繕工事及びリノベーション工事の実施による物件競争力の維持・向上
③ 有利子負債の調達金利の低減と、残存年数の長期化、そして金利の固定化及び返済期限の分散化を推進することによる財務基盤の強化
④ 合併に伴う負ののれん発生益に起因する一時差異等調整積立金(当期末現在239億円)の活用
当期末現在における保有物件数と資産規模はそれぞれ289物件、5,053億円(取得価格合計)であり、住宅特化型J-REIT(注1)最大級となっています。
(注1)「住宅特化型J-REIT」とは、東京証券取引所不動産投資信託証券市場に上場している投資法人(以下「J-REIT」といいます。)のうち、住宅を主たる投資対象とし、ポートフォリオにおける住宅の投資比率が90%以上の銘柄をいいます。
(ロ) 当期の運用実績
① 内部成長
-賃料上昇を軸とした収益力の継続的な強化-
本投資法人の資産運用会社である伊藤忠リート・マネジメント株式会社(以下「本資産運用会社」といいます。)がプロパティ・マネジメント会社と適切に協働し管理運営に努めた結果、当期の期中平均稼働率は、リノベーション工事に伴う空室の影響が見られたものの95.9%となりました。また、東京23区の人口流入の動き等を背景に、賃貸マンションの需給環境が引き締まる中、テナント入替時及び更新時の賃料は堅調に上昇しました。
-リノベーション工事実施による競争力強化を促進-
本投資法人では、計画的に大規模修繕工事を実施し、保有物件の機能維持・意匠の改善を進めるとともに、大規模修繕工事を行った物件を中心に、個別住戸についても設備更新や間取り変更等を伴うリノベーション工事を通じて、競争力の維持・向上を図りました。
② 外部成長
- 中長期的な収益成長を見据えた資産入替 -
当期は、レジディア松陰神社前(注2)、レジディアときわ台(注3)、レジディア武蔵小山(注4)及びレジディア横濱戸部(注5)の4物件(取得価格合計69億円)を取得しました。加えて、次期2027年1月期においては、2026年8月28日付でレジディア東日暮里(注6)及びレジディア亀戸Ⅱ(注7)を、同年9月30日付でレジディア桜新町(注8)を取得し、計3物件(取得価格合計39億円)の取得が完了しています。
一方、2026年7月には、レジディア文京湯島Ⅱ、レジディア徳川の2物件(譲渡価格合計25億円)を譲渡しました。次期2027年1月期には、2026年9月30日付でレジディア天神橋の1物件(譲渡価格12億円)を譲渡しました。
(注2)レジディア松陰神社前については、2026年8月3日付で、クレヴィアリグゼ世田谷松陰神社前から、レジディア松陰神社前に物件名称を変更しています。本書においては決算日時点の名称にかかわらず、新物件名称にて記載しています。以下同じです。
(注3)レジディアときわ台については、2026年8月3日付で、URBANLINKときわ台から、レジディアときわ台に物件名称を変更しています。本書においては決算日時点の名称にかかわらず、新物件名称にて記載しています。以下同じです。
(注4)レジディア武蔵小山については、2026年9月1日付で、ハーモニーグラシア武蔵小山から、レジディア武蔵小山に物件名称を変更しています。本書においては決算日時点の名称にかかわらず、新物件名称にて記載しています。以下同じです。
(注5)レジディア横濱戸部については、2026年9月1日付で、ポルトパルティーレ横浜から、レジディア横濱戸部に物件名称を変更しています。本書においては決算日時点の名称にかかわらず、新物件名称にて記載しています。以下同じです。
(注6)レジディア東日暮里については、2026年11月2日付で、コスモリード東日暮里から、レジディア東日暮里に物件名称を変更予定です。本書においては決算日時点の名称にかかわらず、新物件名称にて記載しています。以下同じです。
(注7)レジディア亀戸Ⅱについては、2026年11月2日付で、コスモリード亀戸から、レジディア亀戸Ⅱに物件名称を変更予定です。本書においては決算日時点の名称にかかわらず、新物件名称にて記載しています。以下同じです。
(注8)レジディア桜新町については、2026年12月1日付で、レジデンス桜新町スクエアから、レジディア桜新町に物件名称を変更予定です。本書においては決算日時点の名称にかかわらず、新物件名称にて記載しています。以下同じです。
③ 財務戦略
- 安定的な財務基盤の強化-
当期の有利子負債調達は、総額248億円(平均支払金利(注9)2.12%、平均調達年数6.5年)の借入れ等を実施しました。これにより当期末現在の平均支払金利は0.94%となりました。また、平均残存年数は4.3年となりました。
なお、当期末において本投資法人が取得している発行体格付けは以下の通りです。
(注9)「平均支払金利」とは、借入れ及び起債時点、並びに当期末現在における借入金等の加重平均金利をいいます。なお、借入金の金利変動リスクをヘッジする目的で金利スワップ契約が締結されている場合においては、各金利スワップ契約による金利固定化効果の反映後の支払金利を基に算出しています。
④ サステナビリティ
- サステナビリティ(持続可能性)の維持向上 -
本投資法人では、持続可能な社会の実現及び投資主価値の更なる向上を目的として、資産運用会社と一体となりサステナビリティの維持及び向上に取り組んでいます。
環境への取組みとしては、エネルギー消費量及び温室効果ガスの削減目標の達成に向け、保有物件における電気消費量の実績カバー率の向上を目的に、電力量計測システムの導入を進め、同システムを通じて専有部の電気消費量についても把握する取組みを行っています。また、省エネルギー対策の一環として、保有物件における共用部照明のLED化を継続的に推進しています。さらに、テナントに対する省エネルギーに係る啓発活動にも取り組んでいます。
上記の取組みを評価され、2025年CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)気候変動分野において、2年連続で最高評価である「Aリスト」企業に選定されました。また、2025年CDPサプライヤーエンゲージメント評価において、2年連続で最高評価の「A」スコアを獲得し、「サプライヤーエンゲージメント・リーダー」に選定されました。
⑤ 業績及び分配の概要
これら諸施策を実施した結果、当期の運用実績は、以下の通りとなりました。
(単位:百万円)
(注10)業績予想とは、2026年3月17日付「2026年1月期決算短信」にて公表した当期の運用状況の予想をいいます。以下同じです。
(注11)当期純利益を期末時点における発行済投資口の総口数で除すことによって算出しています。以下、特に記載のない限り同じです。
(注12)当期純利益/口の端数は考慮していません。
当期純利益/口は、既存物件の賃料収入増加及び新規取得物件の収益貢献により増収となったものの、前期実績対比での売却益の計上額の減少等により、前期実績対比177円減少の3,055円となりました。
1口当たり分配金については、当期発生の売却益(1口当たり355円)のうち、266円を内部留保し、88円を分配、並びに一時差異等調整積立金の取崩額(1口当たり302円)及び内部留保からの分配(1口当たり134円)を加え、3,225円となりました。
③ 今後の運用方針及び対処すべき課題
(イ)運用における外部環境
(金融資本市場)
日本銀行による金融政策の正常化が進展し、政策金利の引き上げに伴い、国内金利は上昇基調で推移しています。今後も、賃金と物価の動向を踏まえた日本銀行の金融政策運営や、それに伴う長短金利の動向に加え、海外経済や地政学的リスク、為替相場等が金融資本市場に与える影響を注視していく必要があります。
(不動産売買市場)
優良な賃貸住宅については、引き続き安定的な投資対象としての位置づけに変わりはなく、国内外の投資家による物件取得需要は底堅く推移しています。一方、国内金利の上昇に伴う資金調達コストの増加や、売主・買主間の価格目線の差異等を背景に、物件の収益性や将来的な成長性をより慎重に見極める動きもみられています。今後も、金利動向や資金調達環境が不動産価格及び期待利回りに与える影響を注視していく必要があります。
(賃貸住宅市場)
大企業を中心とした雇用・所得環境の改善や、都心部への人口流入の動き等を背景に、賃貸住宅の需給環境については良好な状況が続いています。特に東京23区を中心に賃料の上昇傾向が継続している一方、新築開発における建築費の高止まり等を背景に、新規供給は抑制的に推移することが見込まれ、需給環境は引き続き引き締まった状況が想定されます。こうした環境のもと、本投資法人の運用資産においても賃料上昇が継続しており、内部成長の持続が見込まれます。また、物価上昇を上回る持続的な賃上げによる実質所得の改善が進めば、賃貸住宅市場における賃料負担力の向上にもつながるものと考えています。
(ロ) 運用方針及び対処すべき課題
本投資法人は、上述の外部環境を踏まえ、以下の戦略を着実に実行することによって、1口当たり当期純利益の着実な成長を目指します。
a)内部成長戦略
賃貸住宅市場の動向を注視しながら、稼働率を意識しつつ、賃料引き上げを企図した募集条件の設定、運営を行います。更に更新時においても、対象物件周辺のマーケットの状況、新規成約状況を見ながら、賃料増額の打診を行っていきます。
また、保有物件の築年数(注13)の経過に伴い、専有部内の経年劣化による賃料下落リスクが想定されます。賃料上昇を企図としたリノベーション工事を計画的に推進していくことにより、物件競争力の維持・向上に努めます。
(注13)2026年7月31日時点の平均築年数は18.8年です。なお、平均築年数は、保有物件の築年数を取得価格で加重平均しています。
b)外部成長戦略
スポンサーからの物件供給及び、本資産運用会社のソーシング活動により入手する情報を活かし、ポートフォリオの質及び収益力の向上に資する物件取得を目指します。また、一時的な市場トレンドに振り回されることなく、引き続きテナント及びエリア分散を念頭においた投資を行っていきます。
c)財務戦略
金利動向を注視し、低廉な金融コスト及び借入金等の返済期限分散化の実現を図るとともに、金利の固定化に留意した資金調達を実施します。これにより、金融環境の変化に耐えうる強固な財務基盤の構築を図ります。
d)サステナビリティ
持続可能な社会の実現及び投資主価値の更なる向上を目的として、保有物件の省エネ対策、温室効果ガス排出削減につながる施策を推進していきます。
e)分配金戦略
本投資法人は、基本方針である「長期安定的な利益分配の実現」に基づき、当期利益のほぼ全額を分配することを基本とし、併せて、負ののれん発生益の内部留保金が元である一時差異等調整積立金を「投資法人の計算に関する規則」及び一般社団法人資産運用業協会の「不動産投資信託及び不動産投資法人に関する規則」の一部改正に基づき、毎期「50年均等額」(注14)以上を取り崩し分配します。
また、仮に「50年均等額」を取崩し、分配を行っても1口当たり分配金が2,500円に満たない場合には、追加の取崩しを行うことにより、原則として1口当たり分配金の水準を2,500円以上に維持する方針としています(注15)。
更に、物件の売却損益、リノベーション工事の拡大・推進及び会計方針の変更による減価償却額の増加等の一時的な損益の発生時には、売却益の内部留保又はその取崩し、一時差異等調整積立金の追加取崩しを行うことで分配金の安定化を図ります。
(注14)2017年1月期に一時差異等調整積立金に振り替えた分配準備積立金の金額を100で除すことによって算出されます(50年×2期=100期)。本書の日付現在において、一時差異等調整積立金の50年均等額は約3.35億円です。なお、分配金水準の安定化等を目的として、当該金額を上回る金額の取崩しを行う場合があります。
(注15)分配金の額を保証するものではなく、実際の分配金の支払額については、最終的には本投資法人役員会での承認が必要となります。
(ハ)情報開示
本投資法人は、透明性確保の観点から、法定開示に加えて、有用かつ適切と判断される投資情報について、正確、迅速かつ理解し易い開示に努めます。具体的には、東京証券取引所の適時開示(TDnet登録及びプレスリリース)に加えて、本投資法人のウェブサイト(https://www.adr-reit.com/)を通じた積極的な情報開示を行います。
(ニ)決算後に生じた重要な事実
該当事項はありません。